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「 拓魂 第6号」 昭和48年12月25日発行

男女共学の一こま

学38期 佐野 敏郎

此の一編は決して興味本位ではなく、諸兄にこの様な事実のあった事を述べ、年頃の中学生、特に男の子を持つ親の皆様に参考としたい。独身者各位は、これを読んで自己の同じ頃を振り返り、「おれは何んて真面目であったろう」と自惚れ得る事があれば幸いです。「畜生うまくやってやがる・・」と思う方も無きにしも非ずや?とは私の偏見であろうか。

さてー

  1. 某中学で女子の便所の天井裏に数時間も潜み、のぞき見して楽しんだ事件があった。
     節穴から鼻水を垂らして発見されたという事柄であったが、学校の生徒指導部としては重大問題であった。被害という程でもなかったが、報告を受けた私たちは某教師の根気強い張り込みで犯人を挙げたが、その職員会議が振るっている。
    「理由を聞いても一言も答えない」と。
     当たり前のことではあるが、笑えない発言であった。結局、操行に要注意のマークを付けてケリ。行動面にCの印。
  2. 或る日の放課後、某温泉地の中学校、「先生、私のこれに糊みたいな物をつけられた。」とブルマースを持参して訴えてきた二年生の女子あり。よく見ると、所謂ハンドポンプの跡のシミである。緊急学年会議を開いた。被害生徒の属する学年所属の教師と校長、教頭を入れての特別会である。若い先生は言う。「何故ブルマーを使用したのであろう?」と。私に言わせれば馬鹿々々しい愚問である。ブルマーを見たので発情した。他の品物を使用する程の事件ではない。一般世間で女子の洗濯物ー特に下着、パンティが盗まれるのと同類である。それが証拠に私の越中フンドシが盗まれた事無し・・・雑巾にもならない・・・等会議はお笑いに成ったが、結局犯人?はあがらない。男子全員を集めて事実を告げるわけにも行かず、女子の更衣室に男子が入れないようにする事。また女子もやたらにそのような物を目立つ所に置くな。と言う消極戦法で無理にケリ。

各地方の教育委員会主催で中小学校の道徳及び生活指導担当の主任が年に一、二度会議を行うが、私も出席した事がある。殆ど男女間の非行性問題で、結論は事前指導をしっかりで終っている。エロ雑誌、エロ漫画の氾濫する現代、年頃、特に中学二・三年頃の男子は簡単に発情しやすい時期であろう。と言って以上の事はほんの一部の者であるのは、御承知の通りである。担当教師にとっては興味どころか、対策に頭の痛い問題である。第二次世界大戦前に沖縄で小学校五年、六年生を調査した所、男女生徒に童貞処女が殆どない・・・・という台湾での新聞に発表された事がある。原因は親の私生活からと述べられた。注意すべきことではなかろうか。

女子は攻撃されない限り目覚めないという事は最近、野坂昭如?の四畳半という記事の事で、某女子大生-二十二・三才が数人少しもあの小説はエロでない、わいせつを感じないと述べているという記事を私は読んだ。即ち女子は攻められない限り、経験しない限りセックスに関して鈍?ではなかろうか・・・これは私見であるが。戦前××○○の訳のわからない符号で、大切な部分を隠した小説を読んで、想像をたくましうした私たち五十才以上の年配者にとっては実に想像できない時代となった。今の青少年は果たして幸か不幸か?戦時中ゅ私が船の事務長として南方を航海していた時の船長の話、「豪州のシドニーはすごいぞ、真昼間公園で男女のセックスだ。洋傘を立て掛けて楽しんでいやがる・・・それを行ったり来たりして見ようとするのが日本人だ」 と。今の東京の○○広場は夜間だけであるから良いようなものの昼間から・・・ならないと誰が断言できようか、えらい世の中の移り変わりではある。この様な御時世に中学校の生活指導担当の教師、実に神経を使う仕事と言わねばなるまい。果たして苦労か楽しみか?



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