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「 拓魂 第6号」 昭和48年12月25日発行

『御挨拶』

県支部長 菊池 芳保

先般5月12日県支部総会に於いてかねて健康上の理由にて辞意を表明されて居りました、田中前支部長の後任を御引き受け致す事になりました。  

田中前支部長は、終戦後のあの混乱期に良く県支部の結成に尽力され、其の後永らく各支部長として後輩の面倒を見られると共に、支部の発展に粉骨され、今日学友会支部中異色の支部と云われるまでに育成されました事に対し、会員の諸兄と共に改めて敬意と御礼を申し上げたいと思います。田中前支部長は名誉支部長として、今後も引き続き御指導を仰ぐ事になっておりますが、前支部長の築いて下さった立派な方針と伝統とを受継ぎ、微力ですが誠心誠意尽力致したいと存じますので、宜しく御協力御支援下さる様御願い致します。

県支部の中でも東部地区の諸兄は海野支部長さんを中心に良く結集し、支部活動を活発にされておられる事に敬意を表す次第ですが、今後も更にご活躍を期待して居ります。

扨而現下の社会情勢は公害と高物価の弊害が益々顕著となり、生産第一と消費優先の個人・利己主義、物質主義の生活に大反省をすべき時代となりました。社会の時流の動きが大きく変革しつつあります。これは日本だけでなく全世界も同様、科学万能、物質優先からくる自然界の不調和を如何に反省し、調和を計るかを真剣に考え実現しなければならぬ時代となったと言われて居ります。

我々学友も拓大建学精神の世界の平和と民族の協和と云う精神を再認識し、母校の伝統に誇りをもってお互いに研鑽努力しようではありませんか。

戦前卒の諸先輩は、幸か不幸か海外雄飛と新天地の開拓と云う国家的大使命を背負って、それぞれ大活躍をされたわけですが、戦後使命感と云う事に対しては疑問視された昨今でしたが、やはり少なくとも最高教育を受けた者は、国家的社会的使命感を確立すべきなりと信じます。例え身近な小さな事でも、それが拡大されて国家的、社会的な次元につながるとの思考と其の業績が吾人の生きがいにつながるものと信じます。戦後不幸にして海外雄飛と云う拓大本来の活躍の場が閉鎖され、学友の活躍も消極的な感もなきにしも非ずでしょうが、拓大の開拓精神は必ずしも新天地、未開の地の開拓ばかりではない筈。吾々の身近にも必ず新分野がある筈。此に拓大伝統の押忍の精神、即ち私心を捨て汗身をいとわず、忍耐強く且積極的に取り組む事が拓大の開拓精神なりと考えます。

吾々学友も戦後30年近くを経過した今日、心を新たに拓大伝統の神髄を再反省し、吾れ拓大卒なりとの誇りをもって、母校愛と後輩の活躍発展に微力を尽くそうではありませんか。



拓魂