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「 拓魂 第6号」 昭和48年12月25日発行

『鶏口となるも牛後となる勿れ』

専20期 海野 博夫

中卒進学率の上昇により、求人募集の対象が高卒に向けられ、今やその倍率も、学校によっては五倍~十倍という、全くの売手市場になっている。そして世はまさにデフレに向かい、金融引締、資材不足、諸物価高騰の三重苦にあえいで、益々逼迫の度を強めて来ています。  

我々零細企業は、今や人を集められずに労務倒産に追いやられる憂き目にさらされている。給与ベースは大企業の劣らぬ位の額を支払ってはいても、福利厚生面で絶対的格差をつけられ、現有社員の定着を計るため必死となって諸施策を講じている。流通革命の中にあって弱肉強食は常識、近代経営に徹して認識と決意と勇断決行を以てなんとしても生き抜いて行かなくてはならないが、常に人の問題で経営者とその家族が犠牲を強いられているのが現実の姿であると思う。

先行不安な経済情勢下の傾向として官公庁、銀行等への就職希望が増加していることはうなづけるが、たくましい一匹狼のような頼れる人材が育てられないかと一人悲憤を感じています。

『やる気』に飢えていながらなぜ『やる気』が持てないのか

問題はさかのぼって家庭生活にあるのではないか・・・・・と思う。教育ママの過保護、大学入試にもママ同行、入学して漸く一人で歩こうと思ったが、学校のメカニズムに敗れて、向学心を失い・・・・・麻雀荘へ、パチンコへ・・・・・甘さとか弱さが依頼心を強め、決断力を鈍らせる・・・・・

彼らが真剣に体ごとぶつかって行ける体制づくりこそ私たちの任務ではないかと思う。



拓魂