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「 拓魂 第47号」 平成28年10月10日発行

『こどもに聞かせられない、昔ばなし!』

学部63期 大木 勝敏

子供の『情緒』を養うのに昔から、親や大人は昔話やお伽話を口伝えで聞かせて参りました。皆様も想い出があると思いますが、自分の子供の時に聞いたり読んだりした昔話やお伽話は「愛情や、優しさや、美しさ、強さ、勇気」などロマンがいっぱい盛り込まれているメルヘンの世界でした。この大人からの口頭伝授が健全な情操教育の一つであり大人になっても、ほのぼのとした心地よい心の安らぎになっています。

それでは今はどうでしょうか。子供たちの情報は本から享受することもありますが、主に、テレビ・パソコン・タブレット・スマートフォン・ゲーム機・映画など映像文化から受ける機会が多くなっています。直接目で見える映像文化は楽で、一瞬の楽しさは味わえますが、もっとも大事な「理性」である情緒性を作るのには稀薄であると思います。むしろ、人の話を聞いて想像することは、目から入ってくる情報より極端な刺激はありませんが、想像力と云う理性に必要なものを養います。また映像と違って、脳の中に受ける楽しさの「質」が違います。

人間は楽しい経験をしている時は、脳の中に有益なホルモン(α波・脳内ホルモン・脳内モルヒネ)が分泌して、血液の中に発生する有害な物質、活性酸素を封じ込め、余病などを抑える効果があると言われています。また一方で大人の話から想像するこの楽しい経験は、脳の視覚中枢を通して海馬や扁桃核を刺激し、前頭連合野や運動前野、運動野を成長させ、運動神経系より有益なホルモンである「ドーパミンホルモン」を分泌させます。このドーパミンホルモンこそが、人の性格を明るくさせたり積極的にしたり理性を保ったりする作用があると言われています。よって、ドーパミン作用は精神面でもいい面のドラスティック(思い切ったさま)な行動やポジティブ(積極的)にします。最近凶悪な犯罪が多くなっているのは、このドーパミンホルモンが欠如しているからではないかと思います。

世界文化遺産の構成資産になった「三保の松原」で学校の児童たちに案内人(ガイド)が説明する時、当然「羽衣伝説」の話をしますが「天女の話」をしている時の案内人は、子供たちにドーパミンホルモンを作るメルヘンを伝える使者です。そのためには、大人も純真な心が大切です。昔の大人は純真な心で話をしました。よって子供たちにロマンが伝わったのです。そしてその子供たちは立派な大人になっています。しかし今の大人はどうでしょうか、純真な心で子供に話を聞かせていますか?他人の悪口ばかり言って、自分だけが正しいように話す人が多いです。これは、戦後の「知識」優先の知育教育の欠陥です。特に、団塊の世代以降の人たちは、大事な「心情教育」を教えられてきませんでした。進学や就職のための知識最優先の教育で、人と接する時は知識だけではなく「心情(心の中の思い)」が最も大事であると云う教育は、僅かしか学んでおりません。その結果、ブランドの品名を自慢気に話をしている人や西洋料理のメニューを得意気に話している人、隣近所の有名店を知ったかぶりで自慢している人など、レベルの低い人が多く見受けられます。このような人は、戦後の貧しい中で先人が作ってくれた「平和」に対し、感謝しない「平和ボケ」をしている人です。平和ボケは、社会を見る目が狂い、知識のある人は「優秀」で「立派」であると錯覚して、人を選ぶ時のステータス(社会的地位)を勘違いして「人選」をします。

このたびの「前都知事」の辞任した由々しき問題も元を正せば、外見で判断した「東京都民」が悪いんではないですか?「知名度があるから良い」「立派な大学を出ているから良い」「屑書が立派であるから良い」「人気があるから良い」「弁舌さわやかであるから良い」「テレビに多く出ているから良い」と云う外見で人を見て判断した都民も無かったんだと思います。但し、都知事選挙に限らず選挙は立候補者が少ないので立派な人を選ぶのは難しいとは思いますが、しかし、今回は、いくら大勢の人から反感を買った前都知事であっても「池に落ちた動物を棒で叩く」ようにしていた「都議会議貝」「都民」「マスコミ関係」は、さぞ自分たちは立派な人間だと思っているのでは、ないでしょうね?

「心焉に在らざれど、視れども見えず」これは「心が他のところにとらわれては真理が見えないということです」浮ついた気持ちでは、相手の心の中は見えません。また「子曰く、君子は言に納にし行に敏ならんことを欲す」これは「孔子先生が言われました。人の上に立つような立派な人は、言葉は下手でも行動がシッカリしていればいいんですよ」「また、自分も行動と云う「後姿」に気をつけなさい」との教えです。現代人は、他人を見る時、弁舌さわやかな言葉に惑わされ行動と云う後姿を見ない人が多くなっています。これも心情が欠如した知識優先の教育の結果です。 

政治家同士やテレビのワイドショーのコメンテーターのように批判することが民主主義のように思い込み、やたらと批判や悪口を言い合って、相手の欠点を暴いている人がいますが、このような人の中から人格者が出る訳が有りません。また、他人の話を聞かないで、自分の話をべらべら喋って、知識ぶっている人や、感謝の気持ちを忘れた、自意識過剰の『情緒性』を失ったバランスの崩れた成人者などが多くなっています。 

他人ごとではありません。私自身も知識ぶった、バランスを崩した身勝手な捻くれ者です。その捻くれ者が今、昔話を書いたら、どう云う話になるのか参考に載せて置きます。けして真似をしないで下さい。また、一笑して下さい。

 

それでは、お話をします・・・

  1. むかし、むかし、川上から大きな桃が「どんぶらこ、どんぶらこ」と流れてきました。おじいさんとおばあさんはこの桃を拾って家に持ち帰り、食べました!
  2. 桃太郎は犬、猿、雉をつれて鬼が島に鬼退治に行きました。負けて逃げ帰りました!
  3. 足柄山の金太郎は熊にまたがり、お馬の稽古をしました。落ちて泣きました!
  4. むかし、心の優しい若者がいました。矢を射られた「鶴」を助けました。ある日、若い綺麗な「おつる」と言う女性が訪ねてきて結婚してくれと言 いました。おつるは助けてくれたお礼に豪華な布を織るので、部屋の中を絶対に見ないで下さいと若者に言いました。しかし、おつるは[機]の織 り方を知りませんでした!
  5. むかし、むかし、いいおじいさんといいおばあさんがいました。また、意地の悪いおじいさんとおばあさんもいました。いいおじいさんは意地の 悪いおじいさんに燃やされた、臼の灰で枯れ木に花を咲かせました。これを見ていたお殿様は喜びました。意地の悪いおじいさんも真似をして枯れ 木に灰をかけましたが、花は咲かずに灰を吸って、肺塵症(粉塵が肺に吸収され沈着する)と云う病気になりました!罰が当だったのです・・・
  6. 浦島太郎は助けた亀に連れられて竜宮城へ行きました。乙姫様に「玉手箱」を貰いました。そして、好きになった乙姫様と結婚して子供を作りま した。子供の「教育費」にと、玉手箱を売りました!
  7. もう一人の浦島太郎は、かめに連れられて竜宮城から家に帰りました。貰った玉手箱を開けると、中から白い煙が「もくもく」と出てきて浦島太郎 はおじいさんになりました。そして「国民年金」を貰って暮らしました!
  8. 天女は、漁師の「伯梁」から羽衣を返して貰いました。そのお礼にと「天上の舞」を舞って、富士山の方へ帰って行きました。実はこの天女、富士山に化身した「木花咲耶姫命」です。木花咲耶姫命は、ご主人の「瓊瓊杵尊」に、自分たちの子供ではないのではないかと疑われましたが、産屋に火をつけて三柱の神様(火照命・火須勢理命・火遠理命)を生み自分たちの子供の証しをしました。しかし、疑われていたので不愉快でした。よって、美しい景観の「二保の松原」に安らぎのために遊びにきていたのです。
  9. 大国主命〈別名、大己貴命・御穂津彦命〉は、天照大御神に国を譲った代わりに「出雲大社」に四十八mの巨大な高層神殿を建てて貰いました。そして妻を娶り、天の日鷲(御羽車・腰輿)に乗つて、ハネムーン(新婚旅行)に出かけました。丁度「三保の松原」の上空にきた時、あまりにも「富士山」と松原が美しかったので、魅了された二柱は、羽車神社の前に日鷲から降りて御神池である「天女の池」の聖水で、お身体を清め「神の道」を通って「御穂神社」に神座することにしました。けれども、出雲大社を不在にして置くわけにはいかないので、御穂津彦命と妻の御穂津姫命は御霊をここに遷(分霊)し、出雲へ帰っていきました。そして、三保の松原が世界文化遺産になった後々も、大勢の観光客が来るようにと「二柱の御霊」は、見守ってくれているのです。
  10. 話は変わりますが、むかし、むかし、水を大事にしない人がいました。川の水に溺れて死にました!
  11. むかし、むかし、税金を大事に使わないで無駄に使った人がいました。つい税金を使い込んで捕まりました。
  12. むかし、むかし、原子力発電所が大津波で破壊されて放射能の灰が降りました。付近の大勢の人は昔から居た土地に住めなくなりました。飼っ ていた動物やペットとも別れて、家を出て避難所で不便で苦しい生活を余儀なくされました。しかし、発電所の電力会社の経営者達は立派な家に 家族とペットと一緒に住んでいました。
とさあ~・・・ 押忍



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