「 拓魂 第50号」 r令和元年9月21日発行

『80年の時を超えた奇跡の出会い』

学部76期 栗田 徳光

本年3月23日、仕事で訪問したジャカルタで日系インドネシア人和田雪子さんとの出会いからこの奇跡が生まれるとは、この時は全く思いも寄らない事でした。

ここ数年前より年1~2回ジャワ島各地や、ロンボク島、バリ島等を訪問して、我社で採用しているインドネシア人実習生の面接を行っています。

一昨年現地で海外勤務している、浜松市の某メーカー駐在員の柔道経験者を介して、JJJC(ジャパン ジャカルタ JUDO クラブ)を訪問して現地の少年の練習に参加、現地では柔道着が高価で尚且つ入手が非常に困難なことを知り、静岡県内の学校、柔道クラブ等から使用済み柔道着を収集して渡尼(インドネシア)の折持参、その数も100着を超えました。

現地面接会でお世話になっている実習生送出し機関の責任者が西嶋義哲氏(70期インドネシア研究会OB)だったこともあり、同氏が拓大の先輩である和田盛雄氏の消息を調査している中で、拓大予科在籍中、柔道部に籍を置いていたこと、本学42期の一年時インドネシア語専攻という事から陸軍の求めにより召集(赤紙)され、台湾で訓練を受け、ネパール、マレーシアを転戦、インドネシア戦線では主に通訳として活躍され、終戦後も日本に帰還せずインドネシア独立戦争に参加、終結後スマトラ島の州都メダンの総領事館で勤務の傍ら現地の青少年に柔道を指導するため、私費で嘉納治五郎館と言う柔道場を設立されましたこと等を聞きました。

3月インドネシア訪問時、和田先輩の弟子でインドネシア唯一女子柔道6段WATE氏にお会いし、柔道着の贈呈をさせて頂いた折、和田先輩の奥様リリーさん(華系インドネシア人)とも面会する予定でしたが、生憎ヨーロッパ旅行中の為お孫さんの和田雪子さんと面談、彼女が独学で日本語を勉強している事や、御爺さんのルーツに深い関心があるとの事を知り、機会があれば是非静岡にも遊びに来て下さいと話ました。

4月に入り雪子さんから連絡があり、ご両親と3人で日本に旅行に行くので御爺さんの故郷もわかればうれしいと聞き、拓大100年史編纂室の宮澤正幸先輩(学部51期)に連絡を取り和田盛雄氏のお話をしたところ、宮澤先輩から私にも大変縁の深い人で、なんと旧制静岡中学校(現静岡高校)から拓大予科に進学されたはずとの事をお聞きしました。 早速、静高柔道部の中津正義顧問にお願いして同窓会名簿を調べてもらったところ、昭和15年の4年修了者の中に和田盛雄氏の記述があり、進学先も拓大予科と判明しました。この事実を和田雪子さんに伝えたところ彼女も非常に驚き、静岡訪問時には是非とも祖父の母校の静岡高校に是非訪問したいとの事なので中津顧問にお願いしたところ、校長先生、柔道部員との面談が実現できることになりました。

6月24日に静岡高校を訪問された雪子さんとご両親の3人が目にしたのは、旧制静岡中学(現静高)校友会誌。その中には静中柔道部の記録があり、静岡中学校始まって以来の初の三段の強者であったことや、なんと私の父、潔(学部43期柔道部主将)が静商柔道部員として盛雄先輩と何回も試合をしていたこともきめ細かく記載されていました。

約80年前に和田先輩と亡父が若き日を共に志した柔道で汗を流していたことを知り、和田家の皆さんも感無量だったと思いますが、亡父も天国で喜んでくれたのではと思うと、訪日のお世話をさせて頂いた私にとっても素晴らしい1日になりました。

翌日、東京銀座ハゲ天において宮澤正幸先輩を始め、拓大南洋研究会の皆様に盛大なる歓迎会を開催して頂き、日イの友好を深めることができました。本当にありがとうございました。

長男の侑宜(学部108期柔道部主将)共々3代、歴史ある拓大柔道部にお世話になった事をあらためて感謝します。  

(終)



拓魂


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